「北の巨人」、ハイランドパーク

ああウイスキー! 遊びと悪戯の命!
詩人の心からの感謝を受けてくれ!  (中村為治訳 「R.バーンズ詩集」岩波文庫)

ハイランドパーク(Highland Park)

「北の巨人」といわれるハイランドパークは、ヴァイキングが支配したオークニー諸島、「北緯59度の島でつくられた銘酒」であり、それは世界最北端の蒸溜所でもある。

1年中強風が吹きすさび、寒冷で荒々しい自然にみがかれたフレーバーは、複雑にして豊か。フィニッシュはドライで、ピーティ。余韻が長く、バランスがいいなどあらゆる点で、多くのファンを魅了している人気銘柄でもある。

最高のブランデーに匹敵するといわれるハイランドパークの味わいは、これまたメインランド島の卓越したピートの品質のおかげとも言われている。


「モルトウィスキーの世界で、もっとも卓越した万能選手である。アイランド・スタイルであることは確かだが、古典的なシングルモルトのあらゆる要素が結合している」
と、評論家マイケル・ジャクソンをいわしめ、「オフィシャル12年」もので、90点と高い評価をうけている。ほかの専門家のあいだでの評価も、どのヴァージョンも『ラガーヴーリン』や『スプリングバンク』と並び、非常に高い。

1798年、収税官デイヴィッド・ロバートソンが創業したともいう。それには、おもしろい逸話がある。あの伝説の密造者マグナス・ユウソンがらみである。じつは、かれのおもての顔は、教会の長老だったのだ。そして、その密造酒の隠し場所こそ、教会の説教壇の下だったというのには、おどろく。

そのためか、目に余るものがあっても、査察にはなかなか踏みきれないでいた。が、そんなある日のこと、ロバートソンのもと、査察がおこなわれることになった。事前に察知したマグナスは、密造樽を自宅の広間に運び、その上に白い布をかぶせ、天然痘の患者を装ったものだ。

ハイランドパークは、そのマグナスの密造所跡地に建てられた。そして、政府公認蒸留所となったのが、1825年のことで、所有者はR.ボーウィックであったが、その後たびたびオーナーは代わった。1937年、ハイランド・ディスティラーズが買収し、今日に至っている。

そんなハイランドパークの特徴といえば、伝統的なフロアモルティングの手法を、いまも使用していることがあげられる。以前は、島々で栽培されていたベア種の大麦を使っていたが、現在は、本土産のオプティック種がメインであって、同じグループの製麦施設のあるタムドュー蒸留所から供給されている。

さて、その仕込み水はといえば、ミネラルが豊富な硬水で、蒸留所背後にある丘の上のカティーマギーの泉と、蒸留所下のクランティットの湧き水をつかっている。

そのさいのピートも、専用の採掘場であるホービスターヒルから採り、それも浅い地層から掘り起こされたもろくて若いピートヘッドであって、ヘザーの根っこが多いという。

さらに、そのうえ枝も一緒に焚き込んでいる。これがヘザー風味の強い、ハイランドパーク独特のスモーキー・フレーバーの強い個性を生み出していると思われる。

シングルモルトを熟知したロンドンのプロ・バーテンダーは、「スモーク&ハニー」と評する。

「スモーク」とは、メインランド島の大地から採れる、ここにしかない貴重なピートからもたらされるもの。「ハニー」とは、熟成が生む上質なコニャックのような甘さを表現したもの。この2つこそが、「ハイランドパーク」の最大の魅力でもある。フィマスグラウスや、カティサークの原酒モルトでもある。

仕込みから、発酵まではひとつの建物内で、蒸留は別の建物でおこなわれる。ポットスチルはストレートヘッド型で、スチームケトルの初留、スチームコイルの再留釜の合計4基で、間接加熱方式である。熟成は、フレッシュ、およびリフィル2種のシェリー樽を主に使用し、その材質も、ヨーロピアンとアメリカンの2種だ。

「モダンながらクラシック」をテーマに、2006年にベスト・パッケージを受賞し、ほかのシングルモルトにはない独自性にとんだだ円底のうす型ボトルを使用。

ハイランドパーク 30年;
新鮮な湧水を使用。淡いピート香と、軽快なフレッシュ風味が特徴。2005年アメリカ発売以来、数々の賞を受賞し、ウイスキー通のあいだで注目を集めている逸品である。

ハイランドパーク 12年;
色は、濃いめのコハク色。ハチミツのような甘い香りのなか、ピート焚きによる独特な煙の香り。味わいは、ちょいとドライ。そして、コクがある。フィニッシュは、ちょいと甘みが、それから塩っぽさも。

※参考図書;「スコッチウイスキー紀行」(土屋 守著、東京書籍刊)

■■飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。お酒は楽しくほどほどに。

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