フェルメールも食べたゴーダチーズ! 其の壱。

”北欧のモナリザ”としてあまりにも有名な「真珠の耳飾りの少女」を描いたオランダ・デルフト出身のナゾの天才画家・フェルメール。その「絵画芸術」をはじめ多くの作品の背景に、オランダを中心にした世界地図が描かれている。

かつて世界帝国を築いたオランダ。海洋貿易で莫大な財産を築いたオランダ。フェルメールが生まれた17世紀初頭は絶頂期であった。

フェルメールの青と知られるウルトラマリンブルーは貴重な鉱石である「ラピズラズリ」から作られた絵の具。それをふんだんに使用したフェルメール。歴史上数少ない海上帝国として栄えたオランダが垣間見える。

そのオランダの輸出品目の重要産目が『ゴーダ(Gouda)』だった。ちなみにゴーダはオランダ語でハウダと呼び、チーズはカース。

12世紀ごろ、オランダ南部・ロッテルダム近郊の村、運河で囲まれたゴーダでつくられたチーズである。14世紀ごろまでには、すでに輸出されていたらしい。

「ゴーダ」の安定供給、また取引の公正化をはかるなどの産業奨励策の一環として、独特の「公設チーズ秤量所」が設立され、ますます強化された。農家の人たちは毎週決まった日に、自家製造したチーズを持参して、マーケット・スクエアに集まった。

そこには専業の仲買人がいて、小切手帳持参でチーズを品定め。OKとなると、秤量所に搬入。重量をはかり、おのおのの醗酵室に運ばれ、出来のいいチーズは長期の熟成にまわされるのだ。

そのゴーダチーズが売られる木曜日の市には、長い行列がつねにできていたらしい。ゴーダでのチーズ市は、現在、市庁舎のあるマルクト広場で、シーズン限定で夏のあいだだけ開催されている。

今日では多分にイベント化されているとはいえ、専業のチーズ仲買人をおいての取引は、当時のマーケット・スクエアの雰囲気を伝えている。また、オランダ北部のアルクマールのチーズ市も小規模だが、歴史も古く、観光化されているとはいえ、なかなかおもしろそうである。

ゴーダチーズは、オランダでの生産量は60%をもしめる。それに、原産国・オランダばかりじゃなくスウェーデン、ノルウェー、またデンマークなどでもつくられている世界チーズの一つだ。

側面が丸みをおびた外観で、黄色がかった薄い茶色の円盤形。中身は、白~黄色。ボディは、むしろかためのセミ・ハード・タイプである。

マイルドでナッツの香り、あるいはクリーミーでバター風味。まさに日本人の嗜好にぴったりのチーズともいえる。緻密で引き締まった組織で小さな丸いガス孔が点在し、大きさはリンデッド・タイプで直径が35cm、高さが10~12cm、重さ10kg前後。

外皮なしのリンドレス・タイプはというと、普通タイプのリンデッド・タイプと比べ、水分含量が少しばかり多くて、39~42%ほど。外観も、やや角型で、10~12kgとやや重さがある。

サイズも手のひらサイズのベビー・ゴーダの300gから、10~12kgとさまざま。種類もまた、ニンニク入り、クミンシード入りとヴァラエティである。

5~10月が旬。とりわけ、「グラスチーズ」(「メイ・ゴーダ」)は高価であり、珍重されている。それというのも、5月の若草を食べて育った乳牛からつくるためだ。通常のものより、ビタミン・ミネラルが豊富。

そのゴーダチーズの仲間として有名なところとしては、18ヶ月と長期熟成の黒ラベル・「オールド・アムステルダム」と、あのオランダ王室御用達チーズである「ベームスター」がある。とりわけ、ベームスターは、厳選されたウシのミルクからつくられ、しっとりソフトな味わいで、エクストラといわれる26ヶ月熟成は最高級品。

コーティングもゴーダの特徴。もちろん、お店ではコーティングしていないものもあるが、チーズ表面をワックス、フィルムで包装したもの、真空パックのものと、これもまたさまざま。

ツヤのあるそのチーズ外皮は、自然に熟成・発酵していくなかで、そこに黄色のワックスぬりつけて仕上げるのだ。「黄玉チーズ」といわれるユエンだ。ワックスは、チーズの呼吸を止めず、自然の熟成を守る。

「赤玉」と呼ばれる輸出用の「エダム」同様に、ゴーダには黄色のワックスと決められている(「エダム」の国内向けは、黄色)。

そのワックスを取り除き、カット分だけを食べる。それに、常温で2~30分おいておくと、いっそう風味が増す。また、熱を加えると、よく伸び、よく溶けるという利点から料理においても、あらゆるアレンジが可能だ。

チーズ断層は、濃密で目が細かい。熟成がすすむほど、中身はかたく締まっていく。この段階で発酵して出たガスによって、小さな穴がチーズ全体に広く分布。その空洞が小さいほど、いい熟成したゴーダとなる。

次回は、ゴーダチーズの作り方をちょいとだけ、見てみよう。

参考図書;『チーズ図鑑』(文芸春秋刊)

♪♪♪ オランダには、残念ながら著名な作曲家は見当たらないが、演奏家とオーケストラは別だ。まず、世界に冠たるロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団がある。1888年設立。2代目、鬼軍曹・メンゲルベルグが国際的に第1級のオーケストラに育てあげた。

その客演指揮者でもあり、リコーダー演奏で第一人者、またオリジナル楽器演奏の指揮者としても有名なブリュッヘンの18世紀オーケストラも、十八番のラモーの演奏、モーツアルトをはじめベートーヴェン、シューベルトなどでも名演を聴かせてくれる。

とりわけ、指揮者デビュー作のモーツアルトの交響曲ト短調は衝撃だった。早めのテンポで駆け抜けるなんとも小気味よいモーツアルト。ワルターに慣れ親しんでいただけに、ちょいと驚いたモンだ。

それよりも、《ジュピター》がいい。あまりにも有名な曲の割りには、いい演奏がなかっただけに、これはおすすめだ。カザルス同様、じつに男性的なモーツアルト演奏が、ここにある。

それと、もう一つ、トン・コープマン率いるアムステルダム・バロック管弦楽団がある。

♪♪♪

スポンサードリンク

-->