グレンモーレンジ(glenmorangie) <3>

ああウイスキー! 遊びと悪戯の命!
詩人の心からの感謝を受けてくれ!  (「R.バーンズ詩集」中村為治訳 岩波文庫)

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さて、原料の大麦だが、地元ロス・シャー産の二条大麦だけを使用している。デンプン質が豊富で、タンパク質と窒素の含有量が少ないものが最適とされる。グレンモーレンジはそのスプリングバーディ(春型大麦)を使用している。冬型大麦もあり、春型に比べ、タンパク質が多くデンプン質が少ない。

そのため、アルコールの取れる量は少ないが、フレーバーのよいスピリッツができる。このため、グレンモーレンジでは少しずつ、冬型大麦もブレンドしてモルティングしている。

使用する品種は3種あって、かつての粒が大きめで、噛んでいると甘みが出てくるプリズモ種をはじめ、2種の品種はお役ごめん。オプティック、オックスブリッジ、コックテールの3種に変わった。それにともなって、それぞれの品種ごとに、複数のモルトスター(製麦業者)を使い分けているようだ。

それと、いくつかのフルーティさは、自家製の酵母が関係しているようだ。その酵母は従来のプレス状のイースト菌から、移動も管理もしやすく、そしてなにより品質が安定しているリキッド・イースト菌に切り替えた。もうウォッシュバック(醗酵槽)に、重いペレスイースト菌の入った袋をかつぎあげて、入れなくてよくなったそうな。

余談だが、グレンモーレンジは、ナチュラルなテイストが特徴であって、ナッツやバターのような風味を感じることがある。それは、あくまでピート処理がきわめて弱めであって、以前のように、ピートを切り出し、乾燥させ、燃料にする時代はおわり、工程中のほんの数時間だけ焚きこんで、香りづけをするくらいになっている。

グレンモーレンジが最も重要と考える熟成だが、その多くのこだわりのひとつが、ウッドフィニッシュである。それによって、アロマ、フレーバー、そしてまろやかさという別の要素が加わるのだ。

非常にライトで、香りの弱いスピリッツなので、新樽を使用するとオークの香りが強くつきすぎてしまう。そのため、バーボンの古樽で12年ほど熟成させた後、最後の2年ほどをワイン、シェリー、ラム、ブランデーなどの樽で熟成をおこなう研究を続け、1980年から実験を開始した。

この手法は「ダブル・マチュアード(二段熟成)」ともいい、出来上がったウィスキーの風味に驚くほどの差異がもたらされる。

この研究の成果として送り出されたものが、1996年より発売開始されたポート、シェリー、マデイラのウッドフィニッシュ・シリーズである。

熟成に用いるバーボン樽は、「デザイナー・カスク」と呼ばれるオリジナルのもの。熟成の過程で、最も深く味わいを取り込める樽材を研究するなかで、かれらが見出したのは、アメリカのミズーリ州オザーク丘陵の北斜面、樹齢80~150年のアメリカン・オーク。年輪が詰まった木ほど、フレーバーに好ましい風味を与えてくれるという。

そのオークから切り出された樽板を、人工乾燥ではなく、2年以上も屋外でゆっくりと天日乾燥させ、いったん銘酒ジャック・ダニエルをつめてもらい、その熟成に4年間。その後、その空樽を蒸留所に空輸し、さらなるチェックを経て、スピリッツを注ぎ込み、長期間熟成される。

また、遠赤外線をつかった内面処理方法で、樽の内側を時間をかけてトースト。これが、フレーバーをより豊かに、バニラ、クリーム蜂蜜といったフレーバーをかもしだすことになる。

これまでも、ウッド・フィニッシュ・シリーズは、シェリー、ポート、マディラ、バーガンディの4種が知られていて、それぞれシェリー、ポートワイン、マディラ、バーガンディの樽でフィニッシュさせたものである。

そして、さらには有名シャトーの樽でフィニッシュさせたりした、リミテッド・エディションも多数ある。なかでも、「コート・ド・ニュイ・フィニッシュ」(ロマネ・コンティ)、「ソーテルヌ」(ディケム)、「エルミタージュ」(エルミタージュ)などが有名だ。とりわけ、日本ではシェリーと、ポートが多く輸入され、愛飲されてきた。

しかし、ウッドフィニッシュの用語自体も厳密になり、ボトリングのさいに使用するすべての樽がウッドフィニッシュされたものでなければ、ラベルに表記できなくなった。

とはいえ、「グレンモーレンジ18年」では、表記されてはいないが、実際におよそ全体の3割がウッドフィニッシュされている。そのため、長期熟成されたウイスキーならではの甘味、透明度の高い奥深い味わいを兼ねそなえている。ふくよかなボディ、微かなシェリーの香味がバランスよくまとまっている。食後酒に最適。

現在は、シェリー、ポート、ソーテルヌの3つの樽を定番とするが、これはあくまで追加の熟成であって、もちろんグレンモーレンジ本来のスタイルは変わらない。

※ 再投稿。記事の内容が古くなっている箇所があります。ご容赦ください。

♪ 「スコットランド幻想曲」。ブルッフは、スコットランドの国民的詩人ロバート・バーンズの「スコットランド民謡曲集」を手にしたとき、作曲を思いついたようだ。

前奏曲を入れて5楽章は連続で演奏される。しんみりと、明るく、それでいてノスタルジック。甘くてロマンティックなメロディは心を打つ。ハイフェッツで聴く。 ♪

※参考図書 「スコッチウイスキー紀行」;著者:土屋 守、刊行:東京書籍。

※グレンモーレンジ・セミナー; グレンモーレンジの輸入総代理店である国分(株)によりおこなわれたグレンモーレンジ統括蒸留所長兼熟成管理責任者のビル・ラムズデン博士を迎えてのセミナー。

※ スコットランドやウェールズ、それにアイルランドはアングロ・サクソン人の国ではなく、紀元前500年前後に中部ヨーロッパから移住して来たケルト人からなる国家であったという歴史的な無理矢理こじつけのおまけ;

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