グレンモーレンジ(GLENMORANGIE) <1>

ああウイスキー! 遊びと悪戯の命!
詩人の心からの感謝を受けてくれ!  (「R.バーンズ詩集」中村為治訳 岩波文庫)

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今夜は、ちょいとワインの世界からはなれてみよう。でも、まるっきりはなれるわけではない。

手始めに、といってはナンだが、「グレンモーレンジ30年」のテイスティングを、おごそかにはじめてみよう。そう、今夜はシングルモルト、それも香りと、味わいの芸術品ともいえる北ハイランドの強者・グレンモーレンジだ。

グレンモーレンジは、”蒸留”の重要性は全工程の40%、後の60%は”熟成”であると考えている。

それは、さざまなワイン樽をつかったウッドフィニッシュ・シリーズにみられるように、樽熟成には大いなるこだわりをもっているのだ。

さて、その傑作のひとつである「30年」は、まずはバーボン樽で、ウッドフィニッシュはシェリー(オロロソ)樽で熟成。樽から出したままの状態で、加水していない44.3度のカスク・ストレングスであって、おいそれとは手が出ない代物だ。

もちろん、ストレートだ。別にチェイサーを用意してもらってもOKだ。小ぶりの透明なチューリップグラスに鼻を近づけ、香りをかいでみる。静かにグラスをまわしながら、豊かな香りを楽しむ。

つぎに、味わいを探る。少量を口にふくみ、口中全体にいきわたさせる。そして、飲み干し、後味であるフィニッシュを楽しむ。それから、ミネラル水をほんの数滴だけ加え、シングルモルトの香りの変化を、またも楽しむってぐあいだ。

今度は、飲み干したグラスの内側の残り香をかいでみる。しっかりとした香りが立ち上がってくるのがわかるはずだ。

甘美なまでの「18年」で十分満足はしていたけれども、口当たりがよく、リッチな個性をそのままに、香りは豊かで、それでいて複雑、それ以上に洗練された奥行きそのままにいつまでも余韻がつづくという、おそるべきシロモノだった。

ハイランド発祥の老舗蒸留所・グレンモーレンジは、プレミアム・シングルモルトとして知られ、卓越したウイスキーづくりに対して高い評価を受けてきた。

世界一のウイスキー・ライター、マイケル・ジャクソンによると、業界では小さな規模であるグレンモーレンジは、
「一時期ではあるが、オフィシャルのカスク・ストレングス・ボトリングの分野の先頭を切り、やがてウッドフィニッシュを先駆的に取り入れた」
と、まずは、記念碑的な自著「モルトウイスキー・コンパニオン」で取り上げ、ハウス・スタイルは、
「繊細にスパイシー。熟成年数が若いうちは食前酒;長くなると食後酒」
と紹介している。ちなみに、シングルモルトとしてイギリス国内で1位、世界では6位の出荷量をほこる世界的人気銘柄でもある。

ところが、2004年、グレンモーレンジ社はフランスの高級ブランド、ルイヴィトン・モエ・ヘネシーグループ(LVMH)に買収され、経営方針を一新した。 そのため、ブランド戦略に大きな変化がもたらされることになった。

それまで数あるヴァージョンのなかで、2007年8月、それまで慣れ親しんだ定番である「10年」は「オリジナル」と名を変え、「18年」と「25年」を残して、「15年」と「30年」は姿を消すことになった。

それと、ブランドを代表するウッドフィニッシュ・シリーズも、「エクストラ・マチュアード・シリーズ」と名称を変え、再編されて、 マディラとバーガンディは姿を消し、代わりに「ソーテルヌ」が加わって、シェリー、ポート、ソーテルヌの3シリーズとなった。

さらに、シェリーはラサンタ(情熱)、ポートはキンタルバン(ルビー色のブドウ)、そしてソーテルヌはネクター・ドール(黄金の果汁)と、愛称もつけられることとなった。

♪ メンデルスゾーンの交響曲第3番イ短調「スコットランド」を聴きながら、編集しています。この第3番には、これしかないといった決定的な名盤がある。クレンペラー/フィルハーモニア・オーケストラ盤だ。

遅めのテンポで、細やかなニュアンスをつけながら、自然で柔軟な音楽の運び方であって、それでいて堂々たる安定感がある。抒情的であり、幻想的な味わい深い演奏である。

1959年、病とか、大やけどなどの大変な苦難な状況から抜け出し、かれはフィルハーモニアをひきいて、今や名演としてしられる演奏を、次から次へと残すことになる。

じつは、バイエルン放送響とで、同じ第3番でもう一つのヴァージョンがある。それはあの冗長過ぎるのではないかという第4楽章の終結部、とりわけ雄大なイ短調コーダにまつわるものだ。

クレンペラーは、その箇所をカットし、自作の簡潔なるコーダを演奏するってことで、大胆な離れ業をやってのけたのだ。

※ 再投稿。記事の内容が古くなっている箇所があります。ご容赦ください。

※参考図書 「スコッチウイスキー紀行」;著者:土屋 守、刊行:東京書籍。

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