タリスカー、スコットランドの最高傑作(2)!

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ああウイスキー! 遊びと悪戯の命!
詩人の心からの感謝を受けてくれ!  (中村為治訳 「R.バーンズ詩集」岩波文庫)

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そのスカイ島唯一、生き残った蒸留所なのだ。それはまた、残念なことに、ほかの蒸留所との関係を築くこともなく、独自の創意に頼らざるを得なかったということも、事実であった。


そんな典型的な例が、ポットスチルに見られる。再留釜はごくふつうのものだが、初留釜の形状、とりわけ蒸留所ウラの壁を通った2本のメインアームの形が、じつにユニークなのである。

これらのパイプは、途中2度ほど上下に曲げられていて、ちょうどU字型で「?」マークのようにも見えて、冷却水でいっぱいの伝統的な2基の大きな桶に差し込まれているのだ。

さらに、ラインアームの内部にたまった留液は、その大きな木製のワークタブのなかを、螺旋状に走っている細いパイプで蒸留釜内部に戻され、ふたたび蒸留されるという、まさに特殊ともいえる構造をとっている。

ワームタブの銅管が短く、当然銅に触れる時間が短くなる。そのラインアームと呼ばれるパイプは、スチルの上端を銅製のワームへとつなぎ、アルコールを凝縮・液化することになる。この特殊な形が、パワフルで、ピリピリしたコショウのようなフレーバーを生んでいるといえるようだ。

ごつごつした岩が多い島の西岸に、蒸留所はある。仕込み水はといえば、蒸留所のそばのホークヒルから湧く14~5の地下水源を使用しており、これがタリスカーを、その独特の力強く、あたたかい感じのピート香を生み出しているといえる。ただ、慢性的な水不足が大いなる悩みらしい。

この蒸留所のモットーは、
「伝統を忠実に守る」
というものだけであっただけに、1960年に火災によって、スチルはスチルハウスごと焼け落ちてしまうという甚大な被害をこうむった時があった。

そんな時においても、新たな火災を防ぐために、内部の蒸気コイルを取りつけたほかは、古いボール型の蒸留器と同じものを、寸分たがわず復元され、石炭窯を用いた従来の外部加熱方式を、引きつづき採用したことが、そのいい例である。

それはまた、蒸留所のキャラクターを大事にしようとの姿勢は熟成にもあらわれていて、使用する樽はすべて250リットルのプレーン・オークである。

それはシェリー樽と、バーボン樽が用いられるが、カスクの影響を避けるために、再々使用のホッグスヘッドを使う。樽の本来の役目である「除去すること」と、「加える」こととのバランスに、つねに留意しているのだ。

そんな同社保有の樽から最高の熟成状態のものを選び、年に1~2回だけ発売される限定品のなかの限定品である、トップノッチといわれる最高級品がある。総生産本数、345本ばかり。ボトラーへの樽提供がたいへん少ないために、長期熟成のタリスカーは貴重なアイテムでもある。これも、つねに厳しいポリシーをもつ、タリスカーならではのこだわりでもあるのだ。

1972年、フロア・モルティングを廃止。それ以降、グレンオード・モルティング工場から麦芽の供給を受ける。ピート・レベルは中程度、スモーキーだが、アイラモルトほど重くはない。

2基のウォッシュ・スチルと、3基のスピリッツ・スチルの加熱システムは、重油ボイラーを用いた蒸気加熱システムに変更。1989年、通常より高いアルコール度数45.8%でボトリング。この年、それまでは8年ものをシングルモルトとして販売していたが、タリスカー10年がクラシック・モルト・シリーズの一つに選ばれた。

タリスカーはまた、1896年から1928年までの32年間、アイリッシュ・ウイスキーのように3段蒸留がおこなわれていた。しかし、不思議にも、蒸留法の2段蒸留変更が、ウィスキーに影響を与えなかったとされる。

現在までに、IWSCをはじめとする数多くの賞を受賞するなど、専門家に高く評価されている。アルコール度数は、オフィシャル・ボトルとしての10年は最も高い部類の45.8%。

輝きのある金色。たちこめるスモーキーな香りや、味わいと、コショウにたとえられる独特の刺激と、ドライ・フルーツのようなリッチな麦芽の甘味。余韻が長く、コショウ風味の暖かみがある際立ったフィニッシュ。

18年は、バランスの取れた逸品。10年の特徴を、受け継いでいながら、よりスムーズに。余韻のふくらみ方から、このスムーズさが、いかにスゴいかが分かるはずだ。

25年は、タリスカーの高級品で、シングルカスク、カスクストレングスと、贅沢バージョン。10年の特徴を、パワー・アップさせ、さらに長期熟成による、完熟したマンゴーのような濃厚なフルーツ風味が、まさに渾然一体となっている。機会があれば、ぜひ味わってほしい。

※参考図書;「スコッチウイスキー紀行」(土屋 守著、東京書籍刊)

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