ロックフォール、其の弐。今夜は、ちょいと苦手な青カビ。

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18世紀まで、石灰岩質の台地であるコウス・デュ・ラルザックの評判の高い特産チーズだった。が、いかんせん評判の割には、生産に限りがあった。19世紀以後、徐々に生産領域は拡大。新たにル・レイオンという地域設定までして、半径80kmの規模にまでにふくれ上がり、今日では、ついにはピレネー、コルシカへと拡がった。

その間、乳用ヒツジもラルザック種から交配選別を重ね、良質のミルクをだすラコゥヌ種に切り替えた。全乳量の70%をもまかなっていたが、需要拡大に従い、他にマネッシュ種、コルス種、バスコ・ベアルネーズ種をも追加。今では、全体の20万頭にも満たないが、ラコゥヌ種だけで乳量の30%を確保している。

拠点であるミヨー市には、それら生産者たちが組織する同業者組合の本部所在地がある。それはまた、洞窟で作るロックフォールの権益を守るための’海賊版偽チーズ’との戦いでもあった。

[10月16日(金)発送]ロックフォール 約150g [不定貫](17.0円/g) ベルニエール[冷蔵便のみ]

価格:2,754円
(2015/10/6 15:24時点)
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1961年、熟成庫はコンバルー山の堆積物内に限ると、ミヨー市裁判所は判定を下し、長い戦いに終止符をうった。

2000年以上も前、羊飼いの若者が洞窟内に置き忘れたチーズを食べたら、前よりもいっそうおいしくなっていたというハナシがまことしやかに語られる。原料は羊乳。円筒形。直径が、19~20cm。高さは、8.5~10.5cm。2.5~2.9kgの重さがある。

ご多分にもれず、ロックフォールも製造方式は二極化が進んでいる。いわゆる大工場製と、まだ手工業の名残をとどめている小工業製とだ。

大きなチーズ・パットに入れられたひつじ乳は、青カビの種菌を接種したうえで28~32℃まで温められ、レンネットを添加。およそ2時間後、やや固めに変移したジャンケットをチーズ・ハープでカッティング。かき混ぜながら、カード切片がわずかに固めになった地点で中断。

カード粒子の沈降を待って、ホエーをくみ出し、空気をふくませるためにカードをよくもみほぐす。塩をして、串を刺し通気孔を穿って、空気を送り込む。チーズ奥に青カビの発生をうながすためだ。酸素を好む青カビが、隙間に入り込み、繁殖しやすくしてやるのだ。
初期段階の穿孔だ。

次いで、水分が抜けきったちょいボロボロの状態で型詰め。側に小さな孔を穿った直径20cm、高さ13cmの円筒形。5日間、日に2回反転を繰り返す。カーブへ送り込む前に、3~4日冷涼な場所の棚に横置きして、表面がわずかに乾燥するのを待つ。

さて、カーブに送り込まれた生チーズは、カバニエルという女性の専門集団によって加塩されていたが、今日では上記でも書いたように製造工場が行っている。次の過程は、穿孔だ。青カビの増殖に必要な酸素を供給するため、チーズ表面に通気孔を穿つ作業だ。

それを、洞窟に持ち込み、針をさされ、フルリーヌをくぐった風が胞子を運ぶという次第。空気の流れのいいところに2ヶ月もおいて置くと、カビだらけになる。

綿毛に似た菌糸があらわれ、日数の経過とともに針の穴全体に広がり、うすい緑色から青緑色へと成熟していく。

4週間目あたりで、厚手の錫のホイールでチーズを包み、カビを人工的にコントロールしながら、ソフトタイプとしては長めの最低4ヶ月熟成。9ヶ月熟成ってのもある。熟成がすすむと、カビがグレー色ががかり、アミノ酸の汁がしみでて、崩れやすくなる。

ほぼ6ヶ月あたりで、発酵・熟成のピーク。チーズに仕上がったときには、針のあとがうっすらと残る程度。青カビは、パセリ状で美しい。食べごろは、3~4ヶ月ごろか。口当たりもいいし、香りも楽しめる。

ロックフォールはタンパク質の発酵が微弱のため、旨味はそれほど多くなく、あの舌を刺すような風味が、他の青カビチーズと違って際立っている。でも、それがロックフォールだ。

ロックフォールの全生産量のおよそ60%を占めるのが、ソシエテ社。むろん、大工場制である。対照的に、伝統的な製法にこだわる小さなメーカーが、カルル社。深みがあるといわれる。また、マリアグリアル社のものは、組織がやや固めに作られており、味わいはまろやか。賞味期限も他社より、長めである。そして、カビの入りが美しいパピヨン社のものは、刺激がやや強めか。

個性が強いチーズだけに、やはりボルドーの赤が似合う。ソーテルヌの甘口白ワインは、定番中の定番。ライ麦パン、レーズン入りのパン、またこれも定番のクルミ入りのパンもお供に。

また、洋ナシには、ぴったり。フルーツ・サラダに散らして、ちょいと贅沢に。また、ディップにしてセロリなどをつけて食べると、これまたおいしい。茹で上がったパスタの上にチーズをのせて、フォークで崩しながら食べる。料理の隠し味にも、最適。

参考;『チーズ図鑑』(文芸春秋編、刊)
    出所・出典不明の各資料

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